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房総沖巨大地震モニタリング:抜粋

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   ◎房総沖巨大地震モニタリング
2013/10/24、11/16、12/10、12/29、
2014/1/12-1/16、1/19、1/26、2/2、2/9、2/16、2/23、3/2、3/9、3/16、3/23、3/30
2014/4/6、4/13、4/20、4/27、5/5、5/11、5/18、5/25、6/2、6/8、6/15、6/22、6/29
2014/7/6、7/13、8/3、8/10、8/17、8/24、8/31、9/7、9/14、9/21、9/29、10/5、10/12
2014/10/19、10/26、11/2、11/9
に実施

○震源域と地震の規模の想定:三種類

想定1:房総半島南東沖周辺:地震の規模:M8-M8.5の間:1/13詳述
想定1の余震の考察:1/16詳述

想定2:房総半島南東沖から八丈島東方沖にいたる一帯:地震の規模:凡そM8.5:1/14詳述

想定3:房総半島南東沖から伊豆鳥島東方沖にいたる一帯:
地震の規模:M8.5-M9:1/12、4/5、4/9詳述

★★想定3の可能性が高い:7/24、7/25報告


○巨大地震発生までの前兆の発生過程

step_1:観測者仲間の大気中ラドン濃度観測の大きな濃度上昇の終息

step_2:衛星写真での現象雲;大気重力波、さざ波雲の発生
(大気重力波は
サイト内;地震予想の基礎その2参照)

step_3:予想震源域上空の電離層全電子数:GPS/TECの大きな上昇


 2014/
11/17
 震源や震度および津波の考察:その1
11/9の観測の要約の一部
「巨大地震震源域は、鴨川近郊の房総沖ではなく、それよりかなり南方であると推察された。」
震源域や震度および津波の考察を試みた。

図2014117-1に、「大地震の定説、本当?『慶長、南海トラフではない』疑問視する研究次々:朝日新聞 2013年10月31日 31面に掲載された図を示した。

静岡大学生田 生田助教らは、公開されている地質調査や全地球測位システム(GPS)などからはじき出したプレートの動く速度から、
1900年から2010年までの過去111年間で沈み込んだ長さを推定。

国際地震センター(英国)が持つ同期間の9248個の地震の記録と照らし合わせて、プレートが元に戻った長さを求めて、
たまっているエネルギーを算出した。

M9クラスのエネルギーが蓄積されていると算出された領域は、赤で示してあります。
伊豆諸島の南部から小笠原諸島と、四国沖から日向灘、南西諸島海溝で、M9クラスのエネルギーが蓄積されていると算出された。

このことは、11/9の解析結果の裏付けになっていると考えられた。

一方、東日本大震災が発生した、東北地方沖では、震災によりエネルギーは解放され、
海溝沿いにエネルギーがエネルギーが蓄積された領域が残っっている。

2013年10月の地震学会で、石橋克彦・原田智也らは、慶長地震が
南海トラフのプレート境界型地震ではなく伊豆・小笠原海溝の一部(鳥島付近100km四方前後)の
M8.2-8.4の地震を仮定すると津波の再現ができるとした。

※石橋克彦, 原田智也(2013):
1605(慶長九)年伊豆-小笠原海溝巨大地震と1614(慶長十九)年南海トラフ地震という作業仮説,
日本地震学会2013年秋季大会講演予稿集,D21-03

東京大の原田智也特任助教らは伊豆・小笠原海溝で津波が起きると、各地でどれくらいの高さになるか試算した。
図2014117-1で示した12カ所の震源域を組み合わせて試した結果、
四角の斜線領域、鳥島の東側の100キロ四方の領域のM8・4程度の地震、海溝の東側の細長い領域のM8・2程度の地震の場合、
記録に残る慶長地震の津波の高さと最も一致した。

震源域など、謎が多い慶長地震がどこで起きたかは、今後も議論は続きますが、
伊豆鳥島付近100km四方前後で、M8.2-M8.4の巨大地震が起きれば、慶長地震と同じ津波となるということです。

飯田汲事(1981):
歴史地震の研究(4)
慶長9年12月16日(1605年2月3日)の地震及び津波災害について,

図1の慶長地震の震度および津波の波高分布を図2014117-2として示しました。
薄い赤で加筆した領域で、大きな津波被害がみられた。

東から
房総半島外房、八丈島、伊豆半島西岸、静岡県と愛知県の県境周辺、三重県南部、紀伊半島の西岸から徳島と高知、鹿児島県です。

表2014117-1に、わかりやすく、慶長地震の震度および津波の高さを一覧として示しました。


まず、地震によるゆれです。
ゆれについては、多くの地域で、震度5程度だったようです。

西日本のゆれの記録については、いろいろと議論があります。
例えば、和歌山県広の記録は、明治以降にかかれたもののようだと、検証されている

ただ、多数の記録が残る京都では、京都は揺れなかったと結論付けられているようです。

図2014117-8に、最近、伊豆小笠原海溝で発生したM7クラスの震度分布を、3つ示しました。
比較的大きな揺れを示す地域は、関東や東北で、西日本では、まったく揺れていないことがわかります。

伊豆小笠原で、地震が発生すると、確かに、京都は揺れないことがわかります。

伊豆諸島南部や小笠原で地震があると、
西日本は揺れなくても、遠くの関東や東北での揺れが大きい「異常震域」という現象が起きる。

固い太平洋プレートを通って地震波が伝わる北側は揺れが弱まりにくく、
軟らかい層で地震波が伝わりにくい西側は揺れが弱まりやすいためだと考えられる。

このように、西日本では、揺れがほとんどないにもかかわらず、凡そ1時間すると、巨大津波に襲われる危険性がある。
難が遅れ大きな被害が出る可能性があります。

地震の揺れで、問題なのは、関東のようです。
『房総治乱記』には「慶長六年辛丑十二月十六日大地震、山崩海埋テ岳トナル」とあり、
年号の相違はあるも誤記と考え、この房総半島の記録は慶長地震によるものとされる。

また、『孝亮宿禰日次記』には「近日関東大地震有之、---」

震度5とはいえ、房総半島などでは、大きなゆれによる被害があったと想起させる。


次に、被害が著しく多い津波です。
他の文献での解析結果も加味すると、

八丈島では、7-8m、外房では、3-5mの津波
伊豆半島西岸で、3-4m、東海道、志摩沿岸では、5-6mの津波
足摺岬付近、室戸付近や徳島南東岸では,10 m程度。
九州の南東岸である鹿児島県の大隅半島では3-4m程度

津波の被害の当時の記録を上記、飯田汲事(1981)や伊藤純一・都司 嘉宣・行谷 佑一(2005)の報告から、抜粋します。

房総半島に津波が到達したのは確かと思われ
特に現在の勝浦市、鴨川市などで大きな津波であったと推定される。
但し、その高さは元禄地震による津波よりは低いと考えられている。

記録では、
「「海上、にわかに潮引き、上総、下総では30町、干潟になった後、大山の如くなる浪が押し寄せたとある。」」

小田喜(大田喜)では人馬数百死亡し, 7 村みな流失した。小囲喜領の海辺であり,九十九里浜沿岸域の村落と思われる。
推定波高は4 -5m である。

図2014117-4による、主な被災地リストを北から順に列記する。
九十九里町、白子町、一宮町、岬町、大原町、御宿町、勝浦市、天津小湊町、
鴨川市、和田町、白子、千倉町、白浜町

伊豆半島の伊豆仁科
海溢れ,陸地に12-13町(1.3-1.4km浸水した)。

徳島県海部郡海陽町鞆浦(とものうら)では,未亥刻(22 時)頃大海が3 度鳴り,
逆浪しきりに起こり,高さ10 丈で,7 度来た。推定波高6 -7m 。


相模湾については、上記のように、1605年の記録には残されていない。

神奈川県の「慶長型地震による津波浸水予測図」の記述によれば、
「「神奈川県内に津波の記録は残っておらず、痕跡等の史料は乏しいが、
本県に対し最大規模の津波を生じる可能性があるため対象とする」」と記載されている。

(神奈川県の津波浸水予想図のもとになる慶長型地震断層モデル。
上記の鳥島周辺震源ではなく、東海沖から房総沖までの地域を断層モデルに採用しているため、
相模湾で最大クラスの津波が起きると予測されている。)

次に、実際に伊豆小笠原海溝を波源域として、発生した津波を2例:父島近海地震と伊豆鳥島近海地震で、示します。

○2010年12月22日:父島近海地震:M7.4の津波:図2014117-5
図中で、最も高い津波を記録した黄色丸の地域は、伊豆諸島と小笠原諸島です。
次に、高い津波の記録を示した緑丸の地域は、房総半島南部の千葉県館山市布良、紀伊半島南部、高知県、鹿児島県と薩南諸島です。
津波の北限は、岩手県南部です。

日本全国の津波の記録を見ると、房総半島南部から伊豆諸島、紀伊半島、高知、鹿児島で、比較的高い津波がみられた。

○1984年6月13日鳥島近海地震:M=5.9:図2014117-6
鳥島近海地震(M=5.9)によって,伊豆諸島をはじめ,房総から四国に至る沿岸各地の検潮所で全振幅10~57cm,
周期5~9分の津波が観測された。また,八丈島の八重根漁港では,最大波の全振幅130~150cmの津波が目撃された。
地震規模に対して津波が異常に大きい"津波地震"であった.
波源域は須美寿島(八丈島南方190km)西側の水深1,000mの伊豆・小笠原海嶺にあり,波源域の長さは25kmと推定される。

最大津波の到達時間は、千葉県館山市布良や南伊豆では、凡そ100分後だった。

やはり、上記の父島近海地震と同様な地域で、津波が観測された。

2つの津波の記録で、共通なのは、四国高知の土佐清水だった。
父島近海地震:: 最大津波の到達時間(地震発生後):3時間3分後:
鳥島近海地震:: 最大津波の到達時間(地震発生後):2時間後::
           第一波の到達時間:80分、最大津波の到達時間(第一波の到達時間からの経過時間:40分:::合計120分:2時間後


最後に、元に戻り、
石橋克彦・原田智也ら(2013)は、慶長地震が
伊豆・小笠原海溝の一部(鳥島付近100km四方前後)のM8.2-8.4の地震を仮定すると津波の再現ができるとした、詳細な内容です。

文部科学省 研究開発局
南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト 平成25年度 成果報告書
3.研究成果報告
巨大地震発生域調査観測研究(シミュレーション分野)
⑥シミュレーションに基づく南海トラフ地震津波の検証評価から抜粋引用し、図2014117-7 を作成した。

慶長地震の断層モデルの検討を行うために、まず、慶長地震で記録された津波高の再検討を行った「石橋克彦・原田智也,2013」。

慶長地震では四国の太平洋岸における津波高が非常に高いことが特徴である。

足摺岬付近、室戸付近や徳島南東岸では,10 m程度の津波高になる。
それに対して、九州の南東岸である鹿児島県の大隅半島では3〜4m程度の津波高である。

八丈島、房総半島における津波高は、それぞれ、7〜8m、3〜5mとなった。
図2014117-7の上段に示した。

伊豆・小笠原海溝の一部(鳥島付近100km四方前後)で、記録に残る慶長地震の津波の高さと最も一致した。

北緯30.2°、東経141.8°付近のプレート間の100×100 kmの断層面に10mのすべり量を与えたモデル→プレート間地震モデル
北緯30.2°、東経142.5°付近の100×50 kmの断層面に10 mのすべり量を与えたモデル→アウターライズ地震モデル

図2014117-7に、再検討された慶長地震の波高分布を赤棒線、シミュレーションによる波高分布を青棒線として、津波分布を示した。

シミュレーション結果は、伊豆諸島をはじめ,房総から四国に至る沿岸各地に津波が至ることをよく説明しています。
本州、四国におしよせる津波高では、やはり、四国の太平洋岸をピークの津波高として、東や西に行くにしたがって、
津波高は減じているのがよくわかる。
ただ、九州、四国、紀伊半島、愛知外海、静岡、房総半島に至る広い範囲に、連続して、3-5mの津波がシミュレートされている。


最後に、長周期地震動です。
東日本大震災では、震源から離れた東京都内(23区の震度は「5強」)で長周期地震動を観測し、新宿センタービルなどの超高層ビルが最長13分間、最大1.08mほど揺れていた。
また、ビルそのものが大きくゆっくりと揺れる映像も撮影されているが、世界的に見ても大都市のビルが軒並み長周期地震動によって揺れる映像が撮影された例がない。
さらに震源から数百kmも離れた大阪でも(観測された震度は「3」)、長周期震動によりエレベータ停止による閉じ込め事故が起きたり、内装材や防火扉が破損するなどの被害が出た。

工学院大学の久田嘉章教授(地震工学)が、新宿区にある同大学のビルの揺れを再現したところ、
ビル全体が大きく揺れただけではなく、ねじり振動という中層階が腰をくねらせたような揺れ方をする現象が起きていたと推測した。


さて、
1972年12月4日八丈島東方沖地震が発生。M7.2だった。
この地震により八丈島・震度6、東京・震度4を記録した。それからは余震が続き震度5を最高に100回近くの余震が発生していた。

この地震では東京都新宿区に建設されたばかりの超高層ビル、
京王プラザホテル(47階建、170m)では44階のレストランでは高層ビル特有の長周期の横揺れが発生して客などが一時騒然となったという。

今回の予想震源域も、八丈島から鳥島周辺だと予想され、地震の規模は、M8.5-M9と予想しますので、
東日本大震災と同じく、長周期地震動には、警戒が必要です。




   
 
 
 
   図2014117-1  図2014117-2  表2014117-1  図2014117-4
 
 
 
 
 
   図2014117-5   図2014117-6  図2014117-7  図2014117-8 
 2014/
11/11
 step_1:観測者仲間の大気中ラドン濃度観測の大きな濃度上昇の終息:検証その1

○11/9報告の要約

5/4に始まった2回目の地震エコーでは、9/24まで続いた。143日間となった。

本来ならば、予想される震源の八丈島や伊豆鳥島に大気中ラドン濃度観測があれば、さらに、確実な前兆把握になったと思われる。
11・9の報告では、地震エコーのみで、異常期間、2014/5/4-9/24を判断している。

このうち、「9/24が前兆収束である」。この判断が正しいか、GPS/TEC マップで考察してみます。

○GPS/TECを利用した夢の直前前兆把握

GPS・TECとは、GPSを利用した電離圏全電子数(TEC)観測のことです。

 北海道大学理学研究院 日置幸介 巨大地震直前に増える電離圏の電子→こちら

この報告にあるように、巨大地震:M8以上の地震では、その直前に、震源域上空の電離圏全電子数(TEC)が上昇することが知られています。
2010年チリ地震M8.8、2009年イタリア地震M6.3、2004年スマトラ地震M9.3前でもみられている。

東日本大震災時に、どのようなTECの異常がみられたか、とりまとめた報告があります。

Diminitar ouzounov et al(2011)
Atmosphere-Ionosphere Response to the M9 Tohoku Earthquake Revealed
by Joined Satellite and Ground Observations.
Preliminary results
Earth Sci (2011)24: 557-564

上空の電離層全電子数:GPS/TEC値の増大が最大値となったのは
3/8(東日本大震災の3日前)だった。

3/3-3/11の期間中、日本の電離圏観測施設4箇所で、
(北海道稚内、東京国分寺、鹿児島山川、沖縄那覇)

非常に大きな電離層電子数の増加が見られ、地震発生後には、平常値に戻った。

上記文献では、
NASA TECマップを解析し、2011/2/23-3/11までの期間中の東日本大震災震源域上空の日本時間15:00のデータを
とりまとめ、さらに、直前前兆のピークとなった震災3日前の3/8:日本時間15:00のTEC mapを示してある。
図2014111-1として、示した。

図では、(B)のグラフに、2/23-3/11までの日本時間15:00のTEC値をまとめてあります。
2/23から、徐々に、TEC値は上昇し、3/8にピークとなった。

3/8:15時の残差TECmapが(A)として示してある。
残差TECmapとは、2011/3/8の過去15日間のTECmap値を求め、3/8のTECmap値から、差し引いたものである。

そのため、残差の最大値は10TECUで、その領域を濃い赤で示してある。

東北地方を北限にして、赤い領域が、アフリカの西端から南米の西の端まで、大きく広がっていることがわかります。

このように、巨大地震の直前前兆を、GPS/TECで、とらえる可能性があります。


○「9/24が前兆収束である」。この判断が正しいのか。検証。

上記のNASAの報告を受けて、9/24に前兆が終息し、巨大地震予想震源域では、ひずみの蓄積は臨界点にかなり近づいて、
今後、地震発生に向けて、地殻変動が続くのか

9/24が正しいのか、NASA GPS/TECで検証した。

本サイト環境自然などなんでも掲示板で、ほぼ毎日、TECmapの取りまとめをいただいているZebraさん。
依頼して、2014/1/1以降の11/10までの、日本時間15時のTECマップを並べて、動画にしてくれました。

15時というのは、上記NASA所属Diminitar ouzouno氏らの東日本大震災時の解析が、日本時間15時のマップを使用しているためです。

そのマップを下記に示しました。

5分30秒の動画です。

2014/4/1 M8.2 チリ
2014/4/12 M7.6 ソロモン諸島

これらの巨大地震が発生し、南太平洋では、5月までは、大きな地震活動が継続しました。

そのため、5/25頃(動画の2分24秒頃)までは、日本の南海上では、TEC値が高い状態が続きました。

その後、急激に静穏化し、6-8月までは静穏な状態(緑から黄色)が続きました。

9月にはいると、断続的に高い状態が続き、9/23(動画の6分後)以降、11/10まで、毎日継続して、日本の南海上では、
TEC値が非常に高い状態になっていることがわかります。

(ご多忙の方は、希望の時期まで、動画のスライダーを移動させて、ください。)

また、図2014111-2に、2014/9/1-2014/11/10までの、Dst指数を示した。
9/12-9/13、11/9-11/10に、地磁気擾乱がみられる。

NASA GPS/TECのTEC値もその時期は、大きく影響を受けていると判断された。

しかし、「9/23(動画の6分後)以降、11/10まで、毎日継続して、日本の南海上では、TEC値が非常に高い状態になっている」という判断には、
影響を受けない。


「大気中ラドン濃度の異常値とFMグアム局の地震エコーの収束は、2014/9/24と判断した。」
この9/24とぴたりと一致します。

この一致は、9/24以降は、ラドンなどの前兆が一段落し、地震発生に向けて、準備に入ったことを示していると思われます。
つまり、2014/9/24収束は、正しい判断だった。



本サイト環境自然などなんでも掲示板[34968] 2014年1月1日から11月10日までのTEC Map 動画 Name:Zebra

NASA TECmap


★★
日本時間14時50分(世界時UT5:50)、日本時間14時55分(世界時UT5:55)、日本時間15時00分(世界時UT6:00)のNASATECmapを、1日3コマ用意し、
それを、2014/1/1-11/10までの313日間分、939コマ用意し、それを並べ、つないで、動画とした。

日時は、動画の右上に表示されます。
例えば、2014年1月1日の日本時間14時50分(世界時UT5:50)のTECmapは、01/01/14 05:50UTと、表示されます。

Courtesy NASA/JPL-Caltech

   
 図2014111-1  
 図2014111-2
 2014/
11/09

    
 step_1:観測者仲間の大気中ラドン濃度観測の大きな濃度上昇の終息:2014/11/9記述

【要約】
東日本大震災前の2010年6月から12月にかけて、福島市における大気中ラドン濃度の異常と北海道えりも観測点における地震エコーが認められた。
ラドンの変化の形状と、地震エコーの変化の形状は、非常によく似ていた。

地震に先行する現象であるFM放送波が通常の到達範囲を越えて伝播する(地震エコー)の主因は、
大気中ラドン濃度の放出であると推察した。

関東&愛知県の私どもの観測者仲間:6観測点の大気中ラドン濃度の最近1134日間の観測結果をとりまとめた。
また、静岡県函南町月光天文台で2014/1/2より、VHF帯見通し外放送局観測が開始され、見通し外の遠方FM4局の受信強度を観測した。

ラドン6観測点の最高濃度が、平均値+3σ(標準偏差)値を超えていた観測点の中でも、千葉県鴨川市観測点が飛びぬけて高かった。
巨大地震予想震源域は、南房総鴨川周辺またはその南方海上にあると、推察された。

房総半島沖では、1983年・1990年・1996年・2002年・2007年・2011年・2014年の計7回、ゆっくりすべりが発生している。

2011年房総半島沖ゆっくりすべり発生後、千葉県鴨川の大気中ラドン濃度観測では、3回にわたり、大きな濃度上昇を示した。
しかし、3回目は、わずか、6日後には、静穏化した。ここでは、巨大地震は発生しなかった。

2014年房総半島沖ゆっくりすべり発生後,上記、鴨川では、ラドン濃度の上昇は見られたが、
その濃度上昇は、2011年よりかなり小さく、回数も1回だった。

それに対し、静岡県函南町月光天文台FMグアム局の地震エコー。
5/4に始まった2回目の地震エコーでは、9/24まで続いた。143日間となった。
その上昇期間は、東日本大震災時の、大気中ラドン濃度上昇期間や地震エコー継続期間と凡そ一致した。

2014年房総半島沖ゆっくりすべり発生後の周辺域の力の集中による現象は、
千葉鴨川観測点での大気中ラドン濃度の上昇としては現れず、
静岡函南町でのFMグアム局の地震エコーとして観測された。
巨大地震震源域は、鴨川近郊の房総沖ではなく、それよりかなり南方であると推察された。

ゆっくりすべりによる力の集中がトリガーとなり、ひずみが蓄積された巨大地震予想震源域では、
さらに、応力が加わり、岩盤は圧力に耐え切れずに、岩石中にあたらしい亀裂が発生する。
新しい亀裂から、大気中ラドンが放出され、それが主因で、地震エコーが発生したものと考えられた。



【概要】
東日本大震災前の2010年6月から12月にかけて、福島市における大気中ラドン濃度観測の上昇と北海道えりも観測点における地震エコーが認められた。
ラドンの変化の形状と、地震エコーの変化の形状は、非常によく似ています。

S. Pulinets and Ouzounov,(2011)によると、
地震に先行する現象であるFM放送波が通常の到達範囲を越えて伝播する(地震エコー)の主因は、
大気中ラドン濃度の放出であると推察した。上記もその例であろう。

大学での高度な観測機器による正確性を多少犠牲にしても、観測適地で観測することを優先して、
簡易ラドン計による個人ボランティアの観測ネットワークを作ることを、私どもは、東日本大震災以降、指向した。

関東&愛知県の私どもの観測者仲間:6観測点の大気中ラドン濃度の最近1134日間の観測結果をとりまとめた。
最高濃度が、平均値+3σ(標準偏差)値を超えていた観測点の中でも、千葉県鴨川市観測点が飛びぬけて高かった。
巨大地震予想震源域は、南房総鴨川周辺またはその南方海上にあると、推察された。

グラフにすると、2012年2-4月の千葉県鴨川の最高濃度を頂点にして、2014年8月まで、なだらかに減衰したが、
2014年9月には、全観測点ともに、凡そ30ベクレル以下の低い濃度に収束した。

一方、上記の地震エコー観測者である森谷武男博士が開発したDigital方式を採用した、VHF帯見通し外放送局観測が、2014/1/2より、
静岡県函南町月光天文台で開始された。

FM山形新庄局、FMグアム局、FM三重県志摩局、FM九州鹿児島局の受信を観測しています。
FMグアム局の20秒間の平均値の受信データを、ここでは、地震エコーと呼ぶ。

FM三重県志摩局とFM九州鹿児島局が、継続して受信されていることはなかった。

ところが、東京から2500km南のFMグアム局の地震エコーは、特に、2014/5/4-9/24の143日間に、頻繁に受信されていた。
その間にある伊豆小笠原海溝に大きな震源があると推察された

この推察を、房総沖で発生したゆっくりすべりとの関連で考察した。

ゆっくりすべりとは、
プレート(岩板)境界や地下の断層が、地表に大きな揺れをもたらさないまま、ゆっくりとずれ動く現象です。

ゆっくりすべった場所は、力を解放しますが、逆にその周囲に力が集中します。
ゆっくりすべりに伴う力の集中により、巨大地震の発生が促進される可能性が指摘されている。

房総半島沖では、1983年・1990年・1996年・2002年・2007年・2011年・2014年の計7回、ゆっくりすべりが発生した

発生間隔は91か月、65か月、77か月、58か月、50か月、27か月と次第に、短くなっています。

巨大地震の発生が近づくと、スロースリップの発生間隔が短くなることが報告されている。

目安として、6回スロースリップが発生すれば、巨大地震発生の準備はできるといわれています。
そのため、6回目と7回目の間隔は、かなり短くなっていることが推察される。

2011年房総半島沖ゆっくりすべり発生後、千葉県鴨川観測点の大気中ラドン濃度では、3回にわたり、大きな濃度上昇を示した。
上記の東日本大震災前の福島市の観測結果のように、ラドンの異常濃度が、長期間継続し、地震発生に向けて動き出すと思われたが、
3回目は、わずか、6日後には、静穏化した。
ここでは、巨大地震は発生しなかった。

2014年房総半島沖ゆっくりすべり発生後,上記、鴨川では、ラドン濃度の上昇は見られたが、
その濃度上昇は、2011年よりかなり小さく、回数もたった1回だった。

それに対し、FMグアム局の地震エコー。
5/4に始まった2回目の地震エコーでは、9/24まで続いた。143日間となった。
2011年ゆっくりすべり後のように、短時間で、収束せず、凡そ5か月間も続いた。

その上昇期間は、上記東日本大震災時の福島市観測の、ラドン濃度上昇期間や地震エコー継続期間と凡そ一致した。
また、
これらの発生開始時期は、2011年ゆっくりすべり後の千葉鴨川でのラドン上昇時期と凡そ一致していた。

これらの結果は何を意味するでしょうか。

2014年ゆっくりすべり後の力の集中が、2011年と異なり、
トリガー(引き金)となってしまい、巨大地震予想震源域では、さらに、応力が加わり、破壊にむけて、地震発生:臨界点にむけて、走り出したと思われる。

ついに、最終章となったのである。
歪はさらに蓄積され、岩盤は圧力に耐え切れずに、岩石中にあたらしい亀裂が発生する。
新しい亀裂から、大気中ラドンが放出され、それが主因で、地震エコーが発生する。

その期間は、上記のように、5/4-9/24までの143日間で、東日本大震災前の観測事例と凡そ同じ期間となった。

それは、千葉鴨川観測点での大気中ラドン濃度の上昇としては現れず、
静岡函南町でのFMグアム局の地震エコーとして観測された。

巨大地震震源域は、鴨川近郊の房総沖ではなく、それよりかなり南方であると推察された。


【内容の詳述】
◎東日本大震災前に観測された大気中ラドン濃度と地震エコー

1、大気中ラドン濃度
地震の前に岩盤中に歪が蓄積するにともない,岩石中にあたらしい亀裂が発生するなど,地下水と岩石が接する表面積が増加・減少すると,
地下水中のラドン濃度が変化します。
また、大気中ラドン濃度も上昇することが最近の放射化学的観測から明らかにされています。

図20141109-1の上段の図には、
震源域に近接する福島県立医科大学(福島市)にある非密封放射性同位元素使用施設内の排気モニターの計測データを分析することで、
この施設から半径30km圏内の地面から大気中に出たラドンガスの濃度を調べた。

図では、測定データと平年値との差を毎日計算し、その差をラドンの放射能強度としています。

2010年6月から12月初旬まで ラドンガス濃度が増加した。
その後急激に減少し、東日本大震災発生までの約3カ月間(計算値では、93日となる)、通常よりやや低い濃度レベルを維持した停滞期間が続いた。

特に、平年値を上回る期間をもとめると、100日間も継続しています。
なお、3月15日に原発事故で飛び散ったセシウムなどの影響で、その後は観測データは採れなくなったということです。


図20141109-3では、阪神大震災での同例です。
測定データと平年値との残差を示しています。

標準偏差の3倍を超える濃度を、異常濃度としています。
地震発生の約2か月前から+3σ(残差の標準偏差の3倍)を超えて上昇し続けています。
ラドン濃度のピークをつけて、17日後に、地震が発生した。

阪神淡路大震災:Mw=6.9と東日本大震災:Mw=9.0で、大きく地震の規模が異なります。

異常濃度の継続時間、阪神淡路:約2か月間、、東日本:100日間
異常濃度のピークから地震発生までの期間、阪神淡路:17日間、、東日本:4か月半

この相違は、地震規模の違いによると、考えられています。


2、地震エコー
さて、もう一つの前兆現象が地震エコーです。
地震に先行する現象として,FM放送波が通常の到達範囲を越えて伝播することが知られています。
地震に先行するVHF(FM放送波)の散乱波を地震エコーと呼びます。

図20141109-1の下段の図は北海道大学森谷武男博士が観測された。
森谷氏の言葉で、この時の現象を説明します。

「2010年6月28日から,北海道えりも観測点の89.9MHzのチャンネルに突然エコーが入り始めました。
このチャンネルは中標津局ですが,全国的には,岩手県種市(10W), 岩手県葛巻(10W), 石川県輪島(100W), および神戸(1kW)などがあります。
当初は雑音と考えましたが,良く見ると変動パタンは地震エコーであるようでしたが,北海道東部の観測点では 異常はありませんでした。
本州のどこかの局からの地震エコーの可能性がありましたが良く分からずに経過しました。

2011年3月09日にM7.3が起こりましたが,
これに 引き続いて起こった余震が異常にMの大きい物が多く,グーテンベルグ・リヒタ―のべき乗測のb値が0.5-0.6となりました。
これは群発または前震の性質を示しましたが, これが判った時点でM9は発生していました。」


図20141109-2に、M9の震源域,えりも観測点,
89.9MHz発信点,および福島県立医大の位置を示しました。


3、大気中ラドン濃度と地震エコーグラフの密接な関係
図20141109-1上段の大気中ラドンと下段の地震エコーをよく見比べてみます。

ラドンの変化の形状と、地震エコーの変化の形状は、非常によく似ています。
特に、
福島のラドンが、急激に上昇して、平年値を上回る時期と、北海道えりもで地震エコーが観測される時期は、
ぴたりと一致しています。

S. Pulinets and Ouzounov,(2011)によると、
地表から通常はわずかに大気中へ放出されているラドンガスが地殻内部のわずかな応力変化に反応して放出量が増大する.
これが半減期3.8日で壊変してビスマスや鉛になる時に大気中のエアロゾルや水蒸気と結合して帯電し大気の電気伝導度が増大する.
したがって電波伝播速度が低下(屈折率が増大)してダクトが生成されて通常より遠方までVHF波(FM波)が到達する。

このように、地震に先行する現象であるFM放送波が通常の到達範囲を越えて伝播することの主因は、
大気中ラドン濃度の放出にあると推察される。



房総沖巨大地震
想定3:房総半島南東沖から伊豆鳥島東方沖にいたる一帯:地震の規模:M8.5-M9:1/12、4/5、4/9詳述の前兆現象

この前兆現象を、上記の大気中ラドン濃度と地震エコーについて、解析した。

1、大気中ラドン濃度

○個人ボランティアの観測ネットワークの考え方
上記のように、全国の大学で、ネットワークを組んで、非密封放射性同位元素使用施設内の排気モニターの計測データを解析することが、
巨大地震前兆把握には、最も正確であると考えられる。

しかし、限られた大学の観測数で、24時間、365日、莫大なラドン濃度の瞬間値を、まとめ、解析することは、かなりの時間や労力を要するだろう。
解析の迅速性に問題がある。

また、巨大地震が放射性同位元素使用施設を有する大学の近郊で、発生するとは限らない。

そうであれば、正確性を多少犠牲にしても、観測適地で観測することを優先して、
簡易ラドン計による個人ボランティアの観測ネットワークを作ることを、東日本大震災以降、指向した。

○観測機器
小型ラドンガス測定器 RGD-PS3使用。
アメリカ環境保護庁(EPA)の認証を得ている。
データ更新は、1時間ごとで、表示データは、7日間平均値:Short modeと全平均値:Long modeがある。

全ての観測者さん、共通に、この観測機器を使用し、Shortmodeで、原則、朝と晩、1日に2回、表示値を記録することとした。

○今回、指標とした6観測点
2011/8/16-2014/9/22まで、1134日間、
愛知県西部、東京都練馬区、東京都渋谷区、東京都新宿区、埼玉県南部、千葉県鴨川市の6観測点。

細かい市町村名公開は、観測者さんが同意している場合のみ。
同意が得られない場合には、県名と地域名のみ(埼玉県南部とか)。

2014/9/23以降、転居のため、埼玉県南部観測点は、観測中止となった。そのため、今回の取りまとめは、9/22までとした。


○私どもの観測者仲間:6観測点の大気中ラドン濃度の最近1134日間の基本統計量と異常濃度日数
表20141109-1に示した。

最高濃度が、平均値+3σ(標準偏差)値を超えていた観測点の中でも、絶対値で見ると、千葉県鴨川市観測点が飛びぬけて高かった。
巨大地震予想震源域は、南房総鴨川周辺またはその南方海上にあると、推察された。

○私どもの観測者仲間:6観測点の大気中ラドン濃度の最近1134日間のグラフ

図20141109-4に示した。

2012年2-4月には、千葉県鴨川の最高濃度が飛びぬけて高い。
その後は、2013年8月の東京練馬の最高濃度を山にして、2014年8月まで、なだらかな減衰が続き、
2014年9月には、全観測点ともに、凡そ30ベクレル以下の低い濃度に収束した。


2、静岡県函南町月光天文台VHF帯見通し外放送局観測、 グアム局:100.3MHzの受信強度

VHF帯放送波受信は上述した北海道大学森谷武男博士が開発したDigital方式を採用している。

FM山形新庄局、FMグアム局、FM三重県志摩局、FM九州鹿児島局の受信を2014/1/2から観測を開始した。

データは1秒間に50回計測し、20秒間の平均値のデータを、ここでは採用した。
森谷先生の地震エコーの定義は、ターゲットとする周波数の全受信時間ですが、ここでは、便宜的に、
20秒間の平均値の受信強度をこの後、地震エコーと呼ぶ。

観測開始以降の全データをみてみると、、
FM三重県志摩局:78.1MHz、FM九州鹿児島局79.8MHzの受信強度が継続して受信されていることは
ほとんどなかった。

このことは、今のところ、南海トラフや日向灘方面で、差し迫った巨大地震(南海地震や東南海地震など)が発生する前兆はないと判断された。
九州や西日本、静岡の私どもの観測者仲間の大気中ラドン濃度で、三σを継続して超える異常値は観測されていないことも、裏付けられている。

ところが、東京から2500km南のFMグアム局の地震エコーは、特に、2014/5/4-9/24の143日間に、頻繁に受信されていた。
その間にある伊豆小笠原海溝に大きな震源があると推察された(この仮説は、次の項目でさらに検証します)

また、9/5以降は、グアム局の受信頻度は、著しく減少した。
上記の6観測点のラドン濃度の静穏化とも一致していた。


3、関東や愛知の大気中ラドン変化や、静岡函南でのFMグアム局の地震エコーは、巨大地震の前兆と本当にいえるのか?

この考察を、スロースリップとの関連で述べていきます。

○スロースリップ:ゆっくりすべりとは、

プレート(岩板)境界や地下の断層が、地表に大きな揺れをもたらさないまま、ゆっくりとずれ動く現象です。
世界中でその存在が、近年、確認されている。

ゆっくりすべった場所は、力を解放しますが、逆にその周囲に力が集中します。
ゆっくりすべりに伴う力の集中により、巨大地震の発生が促進される可能性がある。

○東日本大震災前のゆっくりすべりと地震エコー

2012年1月20日に Science誌に掲載された、

加藤愛太郎(東大地震研究所)、
「東北地方太平洋沖地震発生前に見られたゆっくりすべりの伝播」

研究成果では、

「「2011年東北地方太平洋沖地震前のおよそ1ヶ月間に発生した地震活動を解析した結果、本震の破壊開始点へ向かうゆっくりすべりの伝播が、
ほぼ同じ領域で2度にわたって起きていたことを明らかにしました。
これらのゆっくりすべりの伝播が引き起こす力の集中により、本震発生が促進された可能性が考えられます。」」

1回目は、2月中旬から2月末まで継続。
2回目は、3/9のM7.3の最大前震の発生後に見られた。

図20141109-1の下段の図を見てください。
ほとんどの地震エコーは、2010/6/28-2010/12/31までの間に発生しています。

2011年になると、地震エコーはかなり小さくなりますが、3回に分けて、地震エコーがみられます。
1回目:2011年1月
2回目:2011年2月中旬から下旬
3回目:大震災発生直前1週間

この2回目と3回目は、上記のゆっくりすべり発生時期とほぼ同期しています。

大震災震源付近の応力の増加を、ラドン発生とそれに由来するとされる地震エコーの発生としてとらえていると思われます。

○房総半島沖のゆっくりすべり
房総半島沖では、1983年・1990年・1996年・2002年・2007年・2011年・2014年の計7回、スロースリップが発生した
(観測によるものと、事後解析によるものがある)

発生間隔は91か月、65か月、77か月、58か月、50か月、27か月と次第に、短くなっています。

防災科学技術研究所の南海トラフのシミュレーション(模擬実験)では
巨大地震の発生が近づくと、スロースリップの発生間隔が短くなることが報告されている。

目安として、6回スロースリップが発生すれば、巨大地震発生の準備はできるといわれています。
そのため、6回目と7回目の間隔は、かなり短くなっているのでしょうか。

○房総半島沖ゆっくりすべりと千葉県南房総鴨川大気中ラドン濃度観測&グアム地震エコー観測結果との関連

1)2011年房総半島沖ゆっくりすべり

2011年10月26日-11月8日の間、房総半島沖でゆっくりすべりが発生した。
図20141109-4の6観測点の大気中ラドン濃度の最近1134日間のグラフを再度、ご覧下さい。

ゆっくり滑りが発生した地域に近接する千葉県南房総鴨川点の大気中ラドン濃度。

ゆっくりすべり終了後、3回の大きなラドン濃度上昇が観測された。

1回目
2011/12/11-12/16までの期間:鴨川最高濃度:107ベクレル
房総沖スロースリップ2011/10/25-11/8の33-38日後

2回目
2012/02/19-02/24までの期間:鴨川最高濃度:251ベクレル
房総沖スロースリップ2011/10/25-11/8の103-109日後

3回目
2012/04/26-05/01までの期間:鴨川最高濃度:249ベクレル
房総沖スロースリップ2011/10/25-11/8の160-165日後

3回目のラドン濃度上昇時には、上記の東日本大震災前の福島市の観測結果のように、ラドンの異常濃度が、
5か月継続するものと思われたが、3回目は、わずか、6日間で、静穏化した。

2)2014年房総半島沖ゆっくりすべり

2014年1月2日-1月10日の間、房総半島沖でゆっくりすべりが発生した。

図20141109-6には、2013/12/1-2014/11/7までの、鴨川観測点のみの大気中ラドン濃度観測結果を示した。

ゆっくりすべりが始まる前の、2013/12/19から、大きくラドン濃度は上昇、ゆっくり滑りの前日に21ベクレルを観測した。
ゆっくり滑りが始まると、次第に、ラドン濃度は、減衰し、ゆっくり滑り終了時には、6ベクレルまで低下した。

ゆっくり滑り前後の地表面にかかるわずかな応力の変化を的確にとらえていると思われます。

さて、
ゆっくりすべり終了後、2011年ゆっくりすべりと同様に、1回目のラドン濃度上昇がみらえた。

2014/2/15-2/21までの期間:鴨川最高濃度:32ベクレル
房総沖スロースリップ2014/1/2-1/10の36-42日後

1回目のラドン濃度上昇開始時期は、2011年ゆっくりすべり時と凡そ同じだったが、
ラドン濃度の絶対値は、2011年の凡そ3分の一だった。

その後、2011年に、見られたような、2回目と3回目の極めて高いラドン濃度上昇は、鴨川では見られなかった。

次に、FMグアム局の地震エコーを図20141109-5で、再度、見てください。

2/5前後に、小さな地震エコーの山があります。
2/5は、房総半島沖スロースリップ終了の26日後に相当する。

次に、本格的な、地震エコーは、5/4に始まります。
5/4は、房総半島沖スロースリップ終了の122日後に相当する

これらは、上記2011年ゆっくりすべり後の鴨川のラドン濃度上昇1回目と2回目の時期に凡そ一致します。

そうして、
5/4に始まった2回目の地震エコーは、9/24まで続きます。143日間になります。

2011年ゆっくりすべり後のように、短時間で、収束せず、凡そ5か月間も続いた。
上記東日本大震災時の福島での、ラドン濃度上昇期間と凡そ一致します。

これらの結果は何を意味するでしょうか。

2014年ゆっくりすべり後の力の集中が、2011年と異なり、
トリガー(引き金)となってしまい、巨大地震予想震源域では、さらに、応力が加わり、破壊にむけて、地震発生:臨界点にむけて、走り出したと思われる。

ついに、最終章となったのである。
歪はさらに蓄積され、岩盤は圧力に耐え切れずに、岩石中にあたらしい亀裂が発生する。
新しい亀裂から、大気中ラドンが放出され、それが主因で、地震エコーが発生する。

その期間は、上記のように、5/4-9/24までの143日間で、東日本大震災前の福島市の観測事例と凡そ同じ期間となった。

それは、千葉鴨川観測点での大気中ラドン濃度の上昇としては現れず、
静岡函南町でのFMグアム局の地震エコーとして観測された。

巨大地震震源域は、鴨川近郊の房総沖ではなく、それよりかなり南方であると推察された。

○大気中ラドンと地震エコーの収束はいつか。

私どもの観測者仲間:6観測点の大気中ラドン濃度観測結果を上記のように、解析すると、
予想震源域に最も近く、その前兆を最も的確にとらえていると判断される観測点は、千葉県鴨川観測点だった。

図20141109-6による、ラドン濃度の変動は、2014/9/24に、収束している。
その後、僅かに上昇しているが、平均濃度である13ベクレルを上回ることはなかった。

図20141109-5による、地震エコーの変動は、2014/9/24が、最後となり、その後は、今のところ収束している。

これらのことから、凡そ1100日も続いた、きわめて長い大気中ラドン濃度の異常値とFMグアム局の地震エコーの収束は、2014/9/24と判断した。

 
 
 
 
 図20141109-1   図20141109-2  図20141109-3  表20141109-1
 
 
 
 
 図20141109-4   図20141109-5  図20141109-6