大地の変化


地鳴り


地震の振動が音として聞こえる現象を地鳴りといいます。
地鳴りは震源が浅い場合に起こることがあります。

地震波のP波(縦波)は音と同じ性質を持っているので、数十ヘルツ(ヘルツ:一秒間に何回振動するかを表す単位)以上のものは、空気中に出ると人間に聞こえる音として伝わっていき、その音が地鳴りとして聞こえるわけです。
地鳴りが聞こえたあと、だいたい数秒〜数十秒の間に地震が来ることが多いようです


ここで、「地鳴り」の原理を利用した緊急地震速報(きんきゅうじしんそくほう)を説明します。これは、日本の気象庁が2007年10月1日から国内一般向けに速報する予定の地震情報です。

地震では、初期微動 P波と呼ばれる小さな揺れ(縦波)と主要動 S波と呼ばれる大きな揺れ横波が同時に発生する。P波とS波とは伝搬速度が異なり、P波は毎秒約7km、S波は毎秒約4kmの速さで伝わる。

この伝搬速度差を利用して、震源に近い地点におけるP波の観測に基づいて、あとから来るS波の伝播を時系列的に予測し、震源からある程度以上(P波とS波の時間差が充分に開くほど)離れた地点に対しては、その到達前に予測を発表することができる。


問題点は、速報発表から大きな揺れが到着するまでの時間は震源から各地点までの距離に左右されるため、速報発表が主要動の到着に間に合わないこともある。
また、速報がS波到達以前に発表されても、主要動までの時間は数秒〜数十秒しかない。


直下型地震の場合、震源付近ではP波とS波がほぼ同時に地表に到達するため、速報を利用する効果が極めて薄い。

地下水位(水位の変化)


1946(昭和21)年の南海地震の前に、四国や紀伊半島の一部地域で井戸が涸(か)れるなどの異変があったことが知られている。

井戸の水位の低下(11箇所)、温泉の湧出量の減少(1箇所)、井戸水のにごり(3箇所)がみられた。京大防災研グループは井戸の異変が地震発生の直前に起こる「前兆すべり」に起因することを突き止めた。記事はこちら


水位が下がることが前兆になるとは限らない。1923年の関東大震災時には、南海地震と同じように、水位が下がった井戸がある地域と逆に水位が上がった井戸がある地域に分かれた。水のにごりは南海地震と共通していた。

阪神淡路大震災時にも、水位の変化、井戸のラドンや塩素濃度の上昇が認められた。

前震と前駆微動


前震とは、一連の地震活動において本震の前に起こる地震のことである。
前震というのは、あくまで一連の大規模な地震活動のうちの1つである。明確な分類は無いが、前震とは別に、大地震の前に起こる地震活動として、前駆活動というものがある。

スロースリップ、前駆微動などがこれにあたる。こちらのほうが本震までのタイムラグが長く、発見も容易だとされている。


前震は規模が小さく、無感地震も多い。しかし、今では、HARVEST EQMAPのような自動震源決定により、リアルタイムで地域の小さな地震から大きな地震まで地震活動状況を詳細に把握することができる。本サイトでは、各地域別(目次5)に把握できるように工夫してあるので、日ごろの地域の地震活動を把握しておくと、異常があるとすぐに気づくことができる。