地震と地震予測の考え方


地震予想はできる?


大地震による災害は,自然災害の中でも最も恐ろしい。

地震の発生は突発的で,瞬間的に家やビル、建物に被害を与える

上に,津波や火災など他の様々な災害をほぼ同時に誘発します。

私は北関東の栃木県で自然科学系の研究者を職業にしています。

関東は地震が多く、一種の恐怖を覚えていました。

マスコミなどで著名な地震学者の皆様が、

「関東直下型地震はいつきてもおかしくない。

防災の準備をしてください。」と繰り返し聞かされ、

「いつきてもおかしくないといわれても地震予想の情報がないと

防災の意味が半減する。皆忙しく働いているんだし、

常に緊張することは無理だ。」と思っていました。

また、自然科学の研究者としては、

「自然科学の事象にはすべて原因ー経過のプロセスー結果がある。

大地震は突然来るというが、原因やプロセスはないのか」

という大きな疑問を持っていました。

ヴィクトル・ボコフ博士(Dr. Viktor Bokov)を初めて知ったのは、

「草野仁の緊急警告!必ず来る巨大地震生死を分ける」

というテレビ番組でした。

その中でロシア国立水理気象学大学の地震予知科学研究室の

ヴィクトル・ボコフ博士曰く、「危険な気圧配置があります。

それは高気圧が二つあり、その間を割って進むように

台風が通過した後に、高気圧を激しく変化させて気圧を

著しく上昇させ、地殻に加わる圧力が大きく変化し、

巨大地震を引き起こす。特に東京は二つの高気圧の間に

台風が割って入りやすい地形なので注意が必要だ。

今年の台風シーズン気圧配置に注意せよ!」と言っていた。

地震と気象の関係の発言は初めて聞き、異様な感じと

フレッシュさを覚えました。

番組ではボコフ博士は「新潟地震」や「スマトラ地震」などを

予知していると伝え、興味を覚えました。

その後、時間があるときに、ネットで

ボコフ博士のサイトを調べました。こちら

英語なので、それを日本語でわかりやすく訳したサイトはこちら

現在、・気圧配置 ・太陽の磁場活動 ・地盤データ(地質/活断層) を

元に北半球の地震を 精度70%で予測 しています。

日曜日を除き、その日の12時に予測を出しますが、

日本では、時差の関係で翌日未明となります。

サイトで、ボコフ博士がロシアの学術誌に報告した論文の

要旨がありました。

「地震発生の兆しは大きな2つの変化から推測できる。

それは、『太陽の磁場活動の変化』と『高気圧の気圧変化』から

見られるとのことでした。

この2つの変化が同時に起った時にM4以上の地震が発生する。」

その後、サイトで公開されている予想の検証も行いましたが、

確かに予想された地震は高い確率で的中するのですが、

予想されないで発生する規模が大きい地震も多かった。

サイトによると、予算不足で、詳細なデータが入手できず、

労力も足りないとのことだった。

しかし、そうはいっても、予想できるのは

すごいことだと素直に感激しました。



ここで太陽の磁場活動の変化と地震の文献を2件紹介します。
まず、地震に関連する地圏 -大気圏-電離圏結合です。こちら。この中では、


「大地震や津波が大気重力波等を通して電離圏まで影響を与えることはよく知られています。。一方、地震時・後のみならず地震前においても電離圏擾乱が見られ るという指摘が80年代ぐらいからされており議論が盛んです。現在は、メカニズムが仮説の段階であること、統計的解析が不十分な場合も多いため現象の存否 については決着がついていません。しかし、近年のいくつかの論文では、統計的に有意なものがあり、さらに研究する必要があります。

次に、上述のボコフ博士達の予測二関連する文献
Khain V.E., Khalilov et al: POSSIBLE INFLUENCE OF SOLAR ACTIVITY UPON SEISMIC AND VOLCANIC ACTIVITIES:LONG-TERM FORECAST SCIENCE WITHOUT BORDERS. Transactions of the International Academy of Science H &E.Vol.3. 2007/2008, ISSN 2070-0334

こちらのPDFファイル。
solar_and_earthquake.pdf へのリンク

この中のP227 L26に次のように記されています。
The mechanism of dependency is that in connection with the amplification of the solar activity the perturbation of quasistationary state of the atmosphere occurs, that leads to the redistribution of atmosphere mass on the Earth, that is center-of-gravity motion of Earth – atmosphere, and consequently, deformation of the Earth.
太陽活動ー大気質量再分配ー地震の関係を詳細に述べています。


本サイトでの予想方法


いつ(日時)、どこで(場所)、どのくらいの規模(マグニチユード;以後Mと略す)と いう地震の三要素があります。
以下に、本サイトでの予想の考え方を述べますが、予想をし、発生した地震の予想に対する検証をすると、地震というのは、一つの地点(震源)でのできことではなく、日本全体、大きな地震になると世界規模で考えないと正確な予想はできないと痛切に感じます。非常に難しく、私のような個人が、他の仕事を持ちながら、限られた時間の中で、予想することは大変難しいと感じています。
そのため、サイトの目次8の地震予想の上段に但し書きとして「予想した地震発生については、100%発生するとは断言できません。地震が発生する可能性が高いため、警戒して防災の参考にしてください」と記載しています。


関東大震災の例で説明します。
関東大震災とは、1923年(大正12年)9月1日午前11時58分、神奈川県相模湾北西沖80km(北緯35.1度、東経139.5度)を震源として発生した海溝型の大地震です。M7.9、犠牲者14万三千人。

関東大震災前の地震の状況をまとめた資料があります。こちら

この資料から1923年の動きを抜粋します。
1923.01.14;茨城M6.1
1923.01.14;阿蘇山噴火
1923.02;浅間山山麓地震
1923.03.26-1923.03.27;蔵王山東麓群発*
1923.04-1923.05;那覇・和歌山群発地震
1923.04.23沖縄・東シナ海M7.2*
1923.05.07-1923.07茨城M7.3とM7.1
1923.06.26-1923.08.02;焼岳噴火
1923.07;長崎で群発地震
1923.07.01;霧島山噴煙
1923.07.13;種子島付近M7.1とM6.6

関東では、1923(大正12年)年に入ると、
1月14日14時51分頃茨城県南西部にM6.1,5月26日12時12分頃茨城県沖にM6.4、また6月2日2時24分頃茨城県沖にM7.3、続いて同日5時14分頃同海域にM6.9の地震が発生するなど関東及びその周辺海域の地震活動は再び活発化し,
同年6月の東京の有感は14回を数えた。しかし,その後次第に沈静化の傾向を示した.関東及びその周辺の地震活動はこの地震が迫るにつれて沈静化し,特に7月下旬から8月中旬にかけての 1か月間東京では有感皆無で文字通り静穏そのものであった。そして 8月下旬に入り、20日、24日、25日に東京でそれぞれ有感 1回ずつ観測した。


以上のことからわかることは、M8に近い大地震は日本の広い範囲の前兆を伴いながら、発生し、本地震の前には、静穏化とよばれる現象が発生します。

また、プレート運動から引き起こされる大規模な地殻変動には明らかな規則性と反復性があります。
関東大震災以前3年間の大きな地震をまとめます。
1923 05 25 - Torbat-e Heydariyeh, Iran - M 5.7
1923 03 24 - Near Luhuo, Sichuan, China - M 7.3
1923 02 03 - Kamchatka - M 8.5
1923 01 22 - Humbolt County, California - M 7.2
1922 11 11 - Chile-Argentina Border - M 8.5
1922 03 10 - Parkfield, California - M 6.1
1922 01 31 - Eureka, California - M 7.3
1920 12 16 - Haiyuan, Ningxia, China - M 7.8
1920 09 07 - Toscana, Italy - M 6.4
1920 06 05 - Taiwan region - M 8.0
中国、カムチャッカ半島、カリフォルニア、チリ、イタリア、台湾で大地震が発生。
2008/5/12;四川大地震M7.9が発生。その4日前には、5月8日未明に茨城県沖の鹿島灘でM7の地震が発生した。昨年の四川大地震と1923年の大地震とはほぼ同じ震源域で、1923年3月にはM7.3の大地震が起きています。カムチャッカ半島近郊でも最近半年以内に2回のM7クラスの地震が発生。
今後、これらの地域も含めて、カリフォルニア、チリ、イタリア、台湾の地震活動が注目されます。


それでは、本サイトでの地震予想の考え方を述べます。上述したように、個人の限られた時間の中では、完全な予想は無理ですので、本サイト内の各種掲示板に投稿された観測結果とネット上で公開されている地震前兆観測結果を元に予想しています。地震予想の基礎その1地震予想の基礎その2をご覧下さい。


1、地震の規模
まず、世界で1年間に起きる地震の規模と頻度をご覧下さい。こちら
Frequency of Occurrence of Earthquakesです。

M3 - 3.9、M4 - 4.9、M5 - 5.9、M6 - 6.9、M7 - 7.9、M8以上の地震が発生する頻度は1年間に130,000回、 13,000回、 1319回、134回、 17回、 1回です。


これからわかることは地震の規模Mが1大きくなるたびに発生する頻度は十分の一になるということです。
Mが1おおきくなるということはほぼ10倍のエネルギーの違いがありますからそれに比例しているといってもいいと思います。


ですので、地震の予想をするときには、まず小規模、中規模、大規模であるかを考え、大規模な地震というのは、大きなエネルギーを伴い、発生頻度も低いので、さまざまな前兆が観察されるはずです。詳しくは、本サイト目次10に記載しています。

上記地震予想の基礎1に示した観測結果の中で、岐阜県観測のラドン濃度や地電位、植物生体電位、各種ノイズ、地震型電離層の程度で大規模、中規模、小規模と大まかな判断をし、空の掲示板での各種地震雲で裏づけをし、全国で観察された潜行式震源探索器;もぐりんなどの観測結果をマップ化したマップでさらに裏づけや予想の修正をしています。また、各地のボランティアの観測者の皆様の磁石落下装置も大きな予想判断の一部として活用しています。

衛星写真を使用して直接地震規模を詳細に予想することは、十年ほど前に特許が取得されており、不可能であると判断し、主として裏づけとして活用しています。詳細に予想する場合には、特許所有者への許諾が不可欠です。また、ボランテイアで無償で限れれた時間内で計算式に基づいて予想することは不可能です。

これらの総合判断で、大規模、中規模、小規模と判断し、予想しています。



2、震源(地震の場所)
この判断もなかなか難しいです。大きな地震になるほど、前兆も大きいのですが、震源となる場所の特定には至りません。例えば、岐阜県中津川市地下水ラドン濃度が大きく変動したから、関東以北の太平洋側に大きな地震が予想されるといった程度です。

ここでは、有志の皆様が震源探索器(もぐりんなど)を全国で観測された結果を基にした震源探索マップで判断しています。詳しくは、目次13をご覧下さい。


3、発生時期
上記のように各種前兆観測で地震前兆が把握できたら、その収束がいつになるかを判断しますが、これがなかなか難しいです。
一旦収束して、静穏化し、直前前兆があるという場合がほとんどで、静穏化がいつで、直前前兆がいつか判断つかない場合も多い。特に、上記地震予想の基礎その1をみてもらうとわかるように、九州や沖縄、東北北海道では前兆観測結果が少ないので、なおさら判断がつきにくい。

大きな地震になるほど、前兆が収まれば、あとはトリガーになるイベントを待つことになると思います。

1、晴天高気圧日
目次6に詳述しています。
2、月の引力
満月や新月などで地球に加わる月の引力日です、大潮期間といってもいいかもしれません。
3、太陽活動

太陽活動や太陽風磁場の衛星観測結果をみて、それらの活動結果がどの程度世界のリアルタイムの 地震活動に結びついているか評価して、大きな地震が 発生しやすい時期を推定する。


私どもは、無償でボランテアで限られた時間の範囲内で観測仲間とともに

協力して地震の予想をしています。

大きな地震の防災の参考にしてほしいという一心です。


限られた時間の中でのことですので正確性に欠けることは否めません。

できる範囲の中で誠実に行っていることだけご理解頂きたいと思います。




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